図書館彼氏【短編】

翌日。


「梨沙ちゃんいらっしゃい。男の子待ってるの?」


「うん!来たら言ってね!」


「はい、わかりましたよ。じゃあ、来たらすぐ言うわね!」




私はこの時はなにもしないでじーっと待ってた気がする。

お願い、来て!と願って。




「こんにちは」


「あっ!梨沙ちゃん梨沙ちゃん!来たわよ!」


「え、本当?」


「あ、この前俺が傘貸してあげた女の子だ」


「えっとー……はい!傘ありがとう。それとクッキーも食べて!」


「うわぁ。ありがとう!」


「ふふっ、どういたしまして!」



なぜか私は男の子に名前を聞かなかった。

今思うと本当私ってバカだったんだなって思う。

私は今も男の子名前を知らない。

その後仲良くなったわけではない。

でも、雨が降るたび思いだす。

その日のことを。