図書館彼氏【短編】

翌日。


「宮田さーん!」


「あら、梨沙ちゃん!昨日はちゃんと帰れた?」


「うん!あのね、昨日傘貸してくれた男の子に傘返したいのと、ありがとう言いたいんだけど……」


「んー、あの子たまにしか来ないのよね……。しかも、昨日は傘ささずに帰ったから風邪ひいてるかも……」


「そっかぁ。じゃあ、明日ならいるかな?直接渡してありがとう言いたいの!」


「梨沙ちゃんらしいわね。ふふっ。じゃあ、また明日いらっしゃい!」


「はーい!じゃあ、さよならー」



なぜかどうしても直接渡したかったんだ。

ちゃんと顔見てはなしたかったんだ。

お母さんにお願いしてクッキーも買った。

それも一緒に渡そうって思ったんだ。



「ママー!」


「なによ大声出して」


「男の子いなかった……」


「あらー……。やっぱり風邪ひいたんじゃない?」


「それ宮田さんも言ってた。だからね、明日も行くの!」


「ふふっ、梨沙らしいね。ちゃんとありがとう言うのよ?」


「宮田さんも梨沙らしいって言ってたぁ!ふふっ。はーい、わかってるよ!」