図書館彼氏【短編】

しばらく宮田さんとはなしたあと。


「じゃあ、そろそろ帰りますね」


「あ、待って待って。最近、颯斗くん来てるでしょ?」


「え、なんで………」


「まぁ、いろいろとね。またいつかはなしてあげる」


「……わかりました。じゃあ、さよなら」


「はい、さよなら」



なんで宮田さんが颯斗のこと知ってるの?

“颯斗くん”って名前も知ってたし。

しかも、いろいろってなに!?

なんか謎すぎる。

もうっ!

宮田さんってばモヤモヤさせるようなこと言わないでよ……。

まぁ、いつか教えてあげるって言ってたしいいや。

宮田さんの“いつか”って結構しばらくしたら教えてもらえるんだよね。



「雨だ………」


外を出ると雨が降っていた。

雨を見るたび思い出すこと。

それは小さい頃の思い出のこと。

雨の日傘が壊れてて、しかもおかあさんが仕事中で図書館に行けないっていう日だった。