「少しだけ、子供の頃の話をさせて下さい」


彼女に腕を振りほどく気がないと感じた男は話し出す。



「僕が生まれたのは今から24年前。日の光を浴びて育ったよ。

その光はとても眩しく、この空にあるどの星よりも輝いていた。


君はね、その太陽に似ているんだ。

とても眩しくて美しく、それでいて暖かい。

だから君は冷たい子には見えない」



太陽の昇らない今は街明かりと、山には星と月の光。



「私が太陽・・・・?」

彼女は怪訝な顔をする。


今まで闇を象徴する言葉しか言われてこなかった。


それが、彼に『太陽』などと言われるなんて。