「それに、あの人に付けられた名前なんて・・・」 彼女は母親に付けられた名前を嫌っている。 私を捨てた母親が嫌い。 捨てたくせに私を守ろうとして死んだ母親が嫌い。 『もう、死なせて』 何度この言葉を口にしただろうか。 何度死のうとしただろうか。 生まれてきたという“罪”を背負ってなお、死ぬことも償うこともできない。