「・・・傷、大丈夫か?」 彼女は少し距離を取って声をかける。 「大丈夫です、ありがとう」 男はにっこりと笑う。 「別に。・・・それより、私なんかにお礼を言って良いの」 彼女は男と目を合わせようとしない。 助けたってどうせ怖がられるだけなのに、毎回何をしているんだろう。 それでも、助けたい。 傷つくのを黙って見ていることなんてできない。 彼女には人に対する強い想いがあった。