「そうなんだ・・・。
なんかゴメンね、全然あたし知らなくて」



「まだ高1だしね。しかも俺ほとんど行ってないから
知らなくて当然だと思うよ」


「うーん、それもそうかも。
じゃあ、覚えておくよ。名前は?」



「瀬戸 慶介(せと けいすけ)」


「瀬戸くんね。うん、覚えた」



 
 そんな会話をしている内に
電車が来た。



「やーっと来た。
坂井さんも、これ?だよな」


「うん、そうだよ」



 やがて、電車は走りだす。




 乗ってからも、あたし達は色んな話を
した。


 学校では、どんな授業をしているのか
春の遠足は何処に行ったのか


 そんな会話を
してから数分後、瀬戸君が降りる駅に着いた。




「じゃあ、俺ココだから」



「うん、またね」



「おう」



 全体的に真っ黒な服を着た瀬戸君は
すぐ目の前にある改札を通りこして姿が見えなくなった。









 この時は、ただただ何も考えていなかった。
ここから、あたしの物語は始まっていたのかもしれない。