アレキン義理兄と桜子の一ヶ月【短編】

「ドイツ人と中国人のハーフだったの、お兄さん」


今まで気づかなかった、いや、聞けなかった。


離婚?した奥さんの話なんて、私聞きたくなかったから。


お母さんの前でなんて、特に聞けないことだと。


「知らんかったんか、桜子。
 蛍子母さん、は知っとるで。離婚前の話とかも」


「ええ!お母さん知ってたんだ。
 お母さんの性格だから、昔のことあんまり気にしないか」


「自分の母親を思うこと、ええことやで。
 俺達がいがみあって、対立してるわけちゃうし」

「そうですね、少し位ならいいですよね?
 お兄さんのお母さんの話」

「ま、俺自身あんまり母親との思い出がないんや。
 俺が小さい時、離婚したから」

「私もです。お父さんが、私が小さい時に亡くなってるんで」


悲しい思い出、ひっぱりだしちゃった。


「すまん、いらんことまで聞いてもうた」


「いいんです。お父さんとの思い出、少ししかないです。
 でも、これからはね・・・」








『桜子、お父さんはいつも傍にいるから。
 幸せになって、生きていくんだよ』