こじんまりとした、昔ながらの精肉店だ。子供の頃から来てる。それで、ここのコロッケは有名なんだよね。

「いらっしゃーーーい!おや、桜子ちゃんじゃないかい。久しぶりだね?」

きさくなおじさんが私に気づいたらしく、話かけてきた。


「おじさん、お久しぶりですね。今日は奮発して、そのサーロインを3枚下さい!」

「おや、3枚って。お母さんと二人暮らしじゃなかったのかい?」

「えっと、母が再婚しまして。それで、家族が増えたんです!」

「そうかい!いやー、めでたいことだね~。だからかい」

「そうです。新しいお父さんとお兄さんができました」


いつも2人分しか買ってなかったからかな?

えーと、合計で○○○○円か。


「まいどあり!あ、今商店街で福引やってるから、はいこれ。抽選券」

「福引?あれ、5枚も・・。多くないですか?抽選券」


買った金額以上くれたんだけど、おじさん間違えたのかな?


「おじさん、抽選券が多いんですけど。普通1枚だと思うんですけど」


おじさんはにぃっと笑って、心ばかりのお祝いだよ。と言って抽選券を余分にくれたのであった。