「はぁ…。…朝から何言ってんだ?。」
桐山先輩は私から見ても分かるほど
わざと溜息を吐き
不機嫌そうに低い声を零して
悠河先輩と結城先輩の前に立った。
「べ・つ・にぃ〜。
朝から心愛チャンとラブラブしてる
泉頼が羨ましいなぁって
思っただけだよ? …っね?輝。」
「……本当。
……リア充爆○しねーかな。」
結城先輩は可愛らしい顔に影を作り
目元が笑っていない笑みを浮かべて
何時もと違う口調で毒を吐いた。
そんな結城先輩とは反対に
悠河先輩は
桐山先輩と朝比奈先輩の顔を
交互に視線を向け
口元を極端まで緩ませて
不気味にニヤニヤしていた。
…ま、眩しいぜっ。
ただの会話だっていうのに。
苦手なタイプの人が居るっていうのに!。
顔がイケメンだけあって
3人は太陽のように煌やき
イケメン好きな私にとっては
心が徐々に癒やされる。
恐るべしイケメンの力。
……って、違う違う。
私は"本命"の"王子様"を見る為に
普段、早起きしない私が
早起きして学校に来たのに
彼等の話を聞いて
心を満たしている場合では無いのだ。
"本命の王子様"がいるであろう場所
視線を向けると視線の先には
アイドルのコンサートのように
"悠馬"と書かれた
手作りの内輪を持った女子や
キャーキャーと
馬鹿でかい黄色い声で出す女子や
"悠馬様ファンクラブ『Ymfm(ユマファム)』"
の、文字が刺繍されている
青色のタッピを着た女子達が
朝の満員電車に乗ったような
多くの人で溢れかえり、
王子様の周りには
人だかりが自然にと出来ていく。
……っち、遅かったか。
人と人の隙間から
除きこませていた顔を引き抜いて
"本命の王子様"の周りに
出来ている人だかりに走って向かう。
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