人だかりの最後列から

 うさぎのように
 ぴょんぴょんジャンプし



 「…あっ。鈴河先輩と王子!!。」


 最前に居る男子2人組を目で確認した。








 1人は首筋の生え際が短めな金色の髪に
 返り血を浴びたような濃い
 赤のメッシュがサイドに染まっている。

 
 今にでも消えそうな細い眉毛に
 シルバーのピアスが2つぶらさがり。

 くっきりとした2重瞼で切れ長の瞳。


 左耳には数え切れない程の
 ピアスが付いている。



 眉毛と瞼の距離がとても狭く、
 常に睨んでいるような印象がある彼は



 ━━━ 鈴河涼太[スズカワ リョウタ]。








 鈴河先輩のご両親が
 ヤがつく仕事をしている為に

 星陵高校の中で一番喧嘩が強く

 良く喧嘩を売られ
 その度に停学になっている。




 顔は怖いが
 イケメンっちゃイケメン。

 だが身長だけでも187cmあり
 おまけにガタイも良いので
 怖い印象が強い。



 そのせいで
 女子には人気はあまりないが

 ちょい"悪"に憧れる
 年下の男子には大人気。





 しかしそんな鈴河先輩も
 噂によるとKP5の中で
 誰よりも優しく、常に友達思いだとか。




 …あくまでも噂に過ぎないけど
 見た目からして鈴河先輩が
 優しいだなんて妄想が出来ない。


 ちなみに鈴河先輩は
 悠河先輩と王子の幼馴染みでもある。






 私は人たがりの中を147cmしか無い
 小柄の体を生かして前へ前へと向かう。



 普段は王子様が現れた時に
 最前列に立って喋って良いのは

 2つあるファンクラブの会長2人と
 副会長4人の6人のみ。




 最前列で会長と副会長達の横に並ぶ
 勇気は流石に私には無いけど

 会長と副会長の間に出来た隙間から
 顔を覗き込むことは出来た。






 「━━━ 王子様…。」





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