嘘だと里美は思った。


　稔が会社以外の女性と結婚する事ぐらい既に前から知っているのだから。


　実はこの前、聖友大学時代からの友人である永倉椿・通称『椿ちゃん』と電話のやり取りをしていた。


　別に特別な用事なんて無い。


　椿ちゃんとはよく、電話で雑談しているのだ。


　ハッキリ言って時間と電話代の無駄になっているような感じだけど、里美や椿ちゃんにとっては気分転換に持って来いのコミュニケーション手段になっているのだ。


　あの夜は又、他愛の無い話しになると思いきや、少しばかりショックな情報を里美は耳にした。


　会話開始早々、椿ちゃんが話しを切り出していたっけ。


「後藤君の事だけどさぁ…、彼もいよいよ結婚するみたいだよ」