「私と付き合わない?」


「付き合う?」と言ったと同時に里美の横顔に目を向ける稔。


「昔みたいに、恋人同士で」


 目は合わせないものの、里美はワクワク気分になっている。


「なーに言ってるんだお前? 正気か?」


「私は正気だよ?」


「…」


 呆気に取られる稔。


 何で今頃になって、付き合いたいって言うんだろうか?


 人をからかっている?


 まさか、良からぬ事を企んでいる…。


 でもそうは見えないし、何だか真面目そうな印象を受ける。


 それに目が真剣だし。