「もーっちろん」


「冗談でしょう? 彼は結婚するのに」


 椿ちゃんは悪女のようなクールな眼差しで里美の目を見つめ始めた。


 相手が顔を近づけたものだから、里美は引いて息を呑む。


「それがどうしたって言うの? 彼をモノにするなら、結婚式をぶっ潰してでも奪ってみせるんだけどね。悪女の里美なら、そのくらいの事は当たり前のハズだよ?」


 これはこれは… 


 狂気じみた強気の発言である。


 椿ちゃんの真剣さ…


 悪く言えば、その貪欲さに里美は背筋に震えを感じた。


 自分までも同じ気持ちなってしまいそうな勢いである。


 確かに里美は自他認める悪女だが…