美智代の思いはより強くなっている事を気づく由も無く、稔は勝手にそう決め込んでいた。


「向こうは、そんな風に思っているって言うの?」


「絶対に思っているハズだろう」


「ふーん」


「まさか、違うって言うんじゃないだろうな?」


「女心って、男が思っている以上に複雑なんだよ。もしかしたら、稔の事を本気で好きになっているかもね」


「んな事ねーだろう?」


「分かんないわよ。稔は結構、そのコを上手にエスコートしてたでしょう?」


「んま」


「もしかしたら」


「その時はその時だ。真希って言う女の時のようにテキトーに距離を置くよ」


「…」


 女を軽く見ているような稔の感覚に里美は不満を抱きつつも、そこは目をつぶって2人の様子を見守った。