「出る?」


「私なんか出て良いの? ダメなんじゃないの?」


「稔はそんな事、一言も言っていないよ。出る出ないは、里美の判断に任せる自由って言っていたけどね」


「…」


 すぐには返答出来ない里美。


 稔の披露宴に顔を出すなんて考えも付かなかったのだ。


「まあ…、アンタの場合は立場が複雑だもんね。元カレだった男の晴れの舞台に顔を出すなんて変だと思うし」


「私が顔を出しちゃったら稔はきっと、変な顔をするよね。何だか怖い」


「だったら、里美の方はパスって事かな?」