ちぇーっ‥ 心の中でそう呟き、ドアをくぐろうとしたとき ──ドンッ 「ぶっ──」 誰かとぶつかった。 あわてて上を見上げると同時に 「ごめんっ──」 と、ぶつかった人らしい人の声が聞こえた。 目の前には同じクラスの山下大貴がいた。 そして山下大貴は顔の前で手を合わせ 少し屈んで目線を合わせている。 ドキッ── 「い、いや、あたしが悪かった!」 あ、あれー──? あたしの胸はあたしらしからぬ行為を起こしている。 意外にも高鳴っているのだ。 この、山下大貴という男に。