「あ!ネコだ!」


声が枯れる寸前、僕はニンゲンに抱えられた。

黒い箱を背中につけたニンゲンだ。

そのニンゲンも僕と同じように濡れていた。


「ネコ?」


別のニンゲンも僕に寄ってきた。

ニンゲンに抱かれた僕は、その高さが怖くてしがみついた。


「捨てネコ?」


僕の名前だ!
呼ばれた僕はいっぱい返事をした。

こうやって返事をしたら、ニンゲンは撫でてくれるから。


「どうするの?」

「お母さんに聞いてみる!」

「無理じゃない?」

「大丈夫だよ、可愛いし。濡れるから走ろう!」


何を言っているか僕にはわからないけど、ニンゲンは僕を抱いたまま凄いスピードで動きだした。

僕は振り落とされないように、ニンゲンにしがみついた。