そそくさと帰ろうとすると、男の人が声をかけてきた。 「ありがとう、君のおかげだよ。君は…隣の…長塚さんだったっけ」 「は、はい!隣の部屋の長塚リホです!!」 「うん、俺は、横溝ツヨシよろしくね、お隣さん」 そう言って笑った顔が、自分の部屋に駆け込んでからも頭から離れなくて、顔中に集まってくる熱に、その日の夜はうまく寝付けなかった。