「なんか用」

髪の毛もっさりしたメガネの男の人が出てきて、低めの、怒り気味の声で聞いてくる。

この人、朝ゴミ置き場にいた人…

「あ、ごめんなさい、いないと思って…」

「なんか用」

静かに、けどさっきよりも強めの声で聞いてくるその人がなんだか怖くて、用件を切り出せない。


「あ、先生、お客様ですか」

私が怯えているところに、背後から声がした。

驚いて振り向くと、そこには挨拶回りの時に、この部屋にいた女の人。

「あなたは、お隣の…」

と言いかけて、女の人は意味深な視線を男の人に向けた。

「はい!長塚です!あの、ごめんなさい!」

「え?なにか、あったんですか?先生」

「いや…」

女の人はモサメガネの男の人を先生、とよんだ。