不器用男子の、恋。



「あ、あの、ごめんね?待たせちゃって」


「別に。雨やまねぇし」


「そ、そうだよねっ」


俺は七星の隣にドカッと座る。


その距離は30センチ。


まだ殆ど恋人みたいなことはしてないし、これくらいの距離が妥当だろう。


ていうか、メガネが濡れていて七星のかわいい顔がよく見えねぇ。


ふとあることが頭の中に思い浮かんだ。


……そうだ。ちょっと七星をからかってやろう。


きっとかわいい反応が見れる。


「なぁ。メガネ拭いてよ」


「え?」


「メ、ガ、ネ。はずして、拭いて。」


「ええっ!?」


ほら、予想通り。


慌ててる姿、超かわいいし!


俺はにやけそうになるのを堪えて、七星に顔をずいっと寄せる。


七星の顔が見えると絶対にやけるから、目を閉じて。