不器用男子の、恋。



ザーッ!


「きゃあ!」


「げっ!最悪っ!トロ、こっち来い!」


いきなり降りだした雨に、俺は七星が濡れないようにと七星の頭に体操着の入ったサブバッグを乗せる。


「それ持ってろ!」


「えっ?う、うん!ひゃ!」


くりくりとした目をして俺を見ていた七星の手を取って、俺は全力で走り出した。




「はぁ、はぁ……っ」


「はー。ここなら、大丈夫だろっ」


「ん、うんっ、はぁ……っ」


到着したのは四角公園の像の横にある、屋根のある場所。


ベンチもあるし雨がやむまで座って待っていればいいと、ここを目指して走ってきた。


近くにコンビニはあったけど、それだと七星とゆっくり喋れねぇからな!


「あーびちょびちょだし。最悪。ったくついてねぇな」


「そ、だね……」


力ない七星の声が聞こえてきたと思ったら、俺の手から七星の手がするりと抜かれた。


七星の方を見ると、七星は顔を手で覆って俯いてベンチに座っていた。


え、どうしたんだ!?