不器用男子の、恋。



俺はさらに、はったりを続ける。


「……あれ?あんたってさぁ、中学ん時、」


「!な、何もしてねぇし!わ、わかったよ。もう近寄らねぇって」


「そ?じゃあ、とっとと行け」


しっしっと俺は手を振り払うように振る。


それに対して、悔しそうな顔で男は去っていった。


「はったりって効くもんだな。ていうか、一体何しでかしたんだよ?くくっ。……って、七星、大丈夫か?」


「だ、大丈夫……っ」


にこっと七星は笑うけど。


大丈夫じゃねぇだろ?


そんなに震えてるのに。


「……なようには見えねぇけど?」


「え?ひゃっ!?」


俺は七星の方にくるりと振り向き、震える身体をぎゅっと抱き締める。


ただ、その震えを止めてあげたくて。


どう思われようと、どんなに嫌がられようと、今はこうしていたいと思った。


「我慢しなくていいから」


ぽんぽんと頭を撫でると、すがりつくように七星が俺の制服をきゅっと握って、顔を埋めた。


「……うぅ~、怖かったぁ……っ」


「……もう、大丈夫だし。俺がいるだろ?」


よしよし、と七星の頭を撫でる。


久しぶりに触れる七星は変わらずふわふわで、いい匂いがした。


身体を預けてくれる七星のことが本当に愛しい。