好きなんて、言えるかよ。



でも、ちょうど良かったのかもしれない。


髪をおろいている私を見て、誠くんは言う。


「男、出来たの?」


本当はまだ、誠くんが好きで

さっきまで結んでいたことを彼は知らない。


だからまだ未練があるって気付かれないで済んだ。


でも……


「そうだと……っ、したら?」


私もズルイ人間だった。


そのことを知らないのを良い事に

こうやって彼を試すような事を言う。


こんな事言って、私はなんて言ってもらいたいんだろう。


嫌だとか、ダメだとか言ってもらいたいんだろうか。