ぐっ、と顔を近付ける彼に 私は泣きそうになる。 好きな人ともキス出来なかったのに、 好きじゃない人とキスなんて、 そんなの絶対に嫌だ。 ぎゅっ、と目をつぶり 唇が触れそうになる瞬間 「……してっ、ない……」 私は振り絞るような声でそう答えると、 彼はピタリと動きを止めた。 ほっ、と安心する私に彼は聞いてくる。 「して、ねぇの?」 「……てない」 何でもう1度聞いたのか分からないけれど