------外を見ると、"何か"が、いる……それも巨大な何かの影が……

 咄嗟に、感情は必要な分だけ残し、冷静な頭に切り替える。

「スノウ!! 」

 未だ放心していたスノウをたたき起こしながら外に飛び出し、鉄パイプを握りしめながら影の方を向く。

「ッッ!!」

 "化け物"とは、きっとこのことを指すのだろう。

 そこには、三メートルはあろうでっぷりと肥大した人間…と呼べるかわからない化け物が、数メートルの建物の傍に先に立っていた。

「スノウ!! 」

 いまだ入り口で呆けているスノウを呼び、手を取る。

 どうやら、そこでようやく化け物の存在に気が付いたらしい。同時に、化け物もこちらを向いた。

「あ、ああ…」

「泣くのは後だ!! 」

 スノウの手を握り走り出す。化け物はそのあとを、その巨体からは想像もつかない早足で追ってくる。

 だが、こちらの方が小回りはきくのだ。

 何度も歩いてきた道を、くねくねと二人で走っていった。