案の定、家に着くころには雨が降り出していた。そして家の中には、ずぶ濡れの猫たちとスノウ、そして俺がいるわけである。

「ねこねこ、寒くないの? 」

 自分もずぶ濡れのくせに、猫の心配をするとは、やはりというか天然である。

「ほらっ、タオルと適当な着替え用意しといたからな」

 そういって、先日見つけて綺麗な水で洗った着替え一式を置く。

「灰色の雪はこれでも溶けないのか……」

 肩にタオルをかけ、トタン板の隙間から外を見ると、雨粒に飲み込まれてなお結晶の形を失わない雪が見て取れた。

「あの、」

「ん? 」

 雪の事ばかり見てたものだから、スノウが近づいてくることに気づけなかった。

「えと、着替えたくて、その……」

 ああ、そうか、そうだった。スノウは女で俺は男である。

 ならば、そういう気持ちになるものだろう……普通ならば。