人生、何が起こるのか分からないものだな、と感じて、思わず苦笑してしまう。

「シャノ、ステラ、キャッ! 」

 二匹と遊んでいたスノウは、飛びかかってきたミケに驚いて倒れてしまっていた。

 その後も、三匹に寄ってたかられ、身体をこすりつけられているスノウ。くすぐったいのか、笑っている。

「……いい、ものだな」

 少し前までは俺の独り言と猫の鳴き声しか響かなかったこの家に、今は歌の様な声で笑うスノウがいる。

 とても信じられず、そしてほんの少し幸せな光景。

「もう、少しだけ見ていたい……」

 それでも、俺の望みは叶えられないと知っている。

 不眠症の薬切れが原因で何十時間と眠らなかった後訪れる、数時間意識を失う時間が迫っているのだ。

 そして、そんなときはいつも悪夢を見る事になる。だから……

「だから……もう、少しだけこの幸せな風景を見ていたい……」

 異変に気付いたのか、スノウと猫たちが寄ってくる。

「大丈、夫? 」

 キョトンとした顔で聞いてくる姿が、とても可愛らしいと思ったのを皮切りに、悪夢の世界に落ちて行った。