金色・銀色王子さま

離れる気はない


だって、会いたかったんだから


触れたかったんだから…







街灯にネイルをキラキラ反射させて伸びた手は、龍之介の両頬を包んでそのまま引き寄せた。
重なった唇は、きつめの香水と甘いグロスの匂いにやられそうで、龍之介はすぐに突き放した。
フラッと倒れ込んでしまうかと思ったが、思いの外香織の足元はしっかりと地に着いていた。



「……なにすんだよ」


「好きだから…キスしたの」


「…は?好き?」



龍之介は香織の腕を掴むと、そのまま壁に体を押しつけた。通り過ぎる人の動揺した視線や声などは、もう耳には届いてない。

壁と龍之介に挟まれて、香織は微酔いの意識のなか熱のこもった視線を向ける。
掴まれた腕とは反対の腕をそっと龍之介の背中に回そうとしたとき…




「簡単に好きとか言うなよ」




「…え?」




「あんたみたいな女、一番信用できねぇんだよ」





龍之介の冷たい視線は、香織に突き刺さる。
蛇に睨まれた蛙のごとく、身動きできない。





「龍之介さんー?遅いっすよどうした…」


お店から出てきた悠太はその光景と周りの視線に驚いた。
悠太の存在に気付いた龍之介はすぐに手を離した。


「わりぃ悠太。この人、タクシー乗り場まで送ってやって」


「えっ?俺がですか?!今、接客中…」


「いいから。早く」


「あ…は、はいっ…」


悠太は見たことない龍之介の冷たい態度に戸惑いながらも俯く香織をタクシー乗り場まで連れて行った。


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