金色・銀色王子さま


















「~~くぅぅーいったいー!!染みるー!!」

打ち身、擦り傷。
大人になってからの傷は子供の時より数倍痛く思える。
手を使う仕事なのに、手をケガするなんて本当に不運。明日は絆創膏にゴム手袋だな。
麻衣は痛みをこらえながら体をなんとか洗い流して、お風呂からでた。
こんな早い時間にお風呂に入れるなんて、一人暮らしの予定ない休日だからこそかもしれない。


冷蔵庫にあるビールに目をやったが、傷を負った身で気が引けた。
ましてや、仕事終わりの片桐と会うかもしれない。
そうなったときお酒を飲んでるなんて知ったら、間違いなく微笑ましくはならないだろう。

仕方なく温かい紅茶を作ってほっこりしながら飲んでると、携帯の着信が鳴った。


慌てて出るとディスプレイには【カイト】の文字。
胸がどきんと音を立てた。




「もしもし?」


『あー麻衣ちゃん?お疲れ~』

「お疲れー。カイト、どうしたの?明後日帰ってくるんだよね?」

『うん。そうだけどなんとなく、麻衣ちゃんと喋りたくてさ』



カイトはそうだ。
こうして女の子の気持ちをくすぐる。



「う、嬉しいなぁー私の声聞きたくなっちゃうなんて。あ?もしや莉奈さんとなんかあった?喧嘩した?」


『喧嘩もなにも、あっちは仕事忙しくてさ。帰ってくるの夜中だし喧嘩もできないわ。家で飼い主待ってるペットの気持ちよく分かる!あはは』



それからカイトは大阪での話をぽつぽつ話した。
USJに行ったとか、ミナミでホストの勧誘されたとか、一人でサイクリング行ってきたとか。
無邪気に話す声は、本当に待ちくたびれた子供のようだった。


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