麻衣の体がふわっと浮いて、ドサッ弾力のあるベットと羽毛布団の上で跳ねた。
ふわっと匂う龍之介の匂い。



麻衣の顔の横に両手をついて見下ろす龍之介。


「あの…片桐…」

「今更、ナシとか言わせないから」





まさか…まさか!?朝から?!





「か、片桐!待って!そんな…」

「そんなって…何?」


「何って…あっ…」
龍之介の顔が麻衣の首筋に埋まり、麻衣は体を硬直させた。

バクバク飛び出しそうなくらい高鳴る心臓が覆い被さる龍之介に聞こえるんじゃないかとヒヤヒヤしたが…









「…………」


「…………?」





か…片桐……?




ものの1分もしないうちに、寝息が首筋に当たって聞こえ始めた。



「か、片桐寝てるの…?お、重い…」


両手で龍之介の体を押し上げて、隙間が空いたスキに体をスライドして抜け出した。
龍之介は少しだけ反応したものきっと本人は覚えていないだろうくらいな寝返りを打って再び寝息をたてた。


相当疲れてたんだろうか。
麻衣は落ち着きを取り戻すと、掛け布団を掛けて上げた。部屋はひんやりと冷え切っていたから、風邪引かないように毛布も一緒に。
長身で自分を見下ろす彼が、子供みたいにうずくまって眠る姿を見るなんて何だか可笑しくて笑ってしまった。



 
「おやすみ…片桐…」







起きたら…会えるよね




だって今日から


片桐の彼女…



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