「最近、望と話してないからわからないけど、彼女できたなんて噂は聞かないよ」
「本当?」
「なんでそんなに疑うの?」
紅茶のカップを両手で持ちながら、おばさんをじっとうかがう。
望と言えば、モテるのに誰からの告白も受けないってことでうちの高校ではちょっと有名だ。
学年一可愛いって言われる隣のクラスの女子も、二つ上の美人の先輩の告白も断ったらしい。
あくまで人づての噂だけど。
でも、中学の時も誰とも付き合ってなくて部活一筋のバスケ馬鹿だったし、
まだまだ女の子とかお付き合いに興味がないのか、もしくは誰か好きな子がいるんじゃないかって言われてる。
おばさんは、ふっと艶やかに笑った。
「うふふ、女の勘」
「女の…勘」



