早乙女さんが一人、ギャラリーから少し離れた場所で壁に寄りかかって立っていた。 「早乙女さんも櫻木くんたちを見に来たみたいね。彼女が櫻木くんに告白して振られたって噂本当なのかなぁ」 「どう、だろね…」 「でも、案外、噂は嘘なのかな」 「え、なんで?」 あたしは菜々を見た。 「だって、振られたのにこうして見に来るなんて、辛くない?」 「それは…」 本当は振られてないから。 答えはわかっているけど、あたしは菜々に言えなかった。