「とりあえず、たまには望の部活の様子でも見よう…かな?」
「なんでそこで疑問形なわけ」
望が眉を寄せて、不機嫌そうな顔をする。
「なんか変なこと企んでんの?」
ドキッとする。
「そ、そんなわけないじゃん」
あたしは必死に取り繕おうと思ったけど、いい言い訳が思いつかず、冷や汗たらたらだ。
「だってよ、まだ授業まで一時間もあるんだぜ? 怪しすぎだろ」
あああ、もう。
こういう時、家からの近さで選んだ、徒歩15分の学校ってのがアダになったかも。
近すぎて、どこか寄るところがあるとも言えない。
登下校で通る道で、こんな時間に開いてるお店はコンビニくらいだ。
「ああっと、学校着いたよ?! 早く体育館行かなきゃいけないんじゃない?」
「あ、ああ。そうだな」
望は校門前の校舎に取り付けられた時計で時間を確認した。
「俺ちょっと用事あるから教室行ってくるわ。真央は先に体育館行ってたら」
「うん、わかった」
あたしは引きつり笑いを浮かべながら、望に手を振り、
彼が校舎に入ったのを確認して、脱力した。



