ーーここが、網坂高校。

必死に勉強して受けた、高校受験。
想像どおり、綺麗な学校だ……。



「新入生のみなさんーー」

生徒会長が、話を進めていく。
私たち1年生は、緊張とドキドキに包まれながら、話を聞く。

ふわぁ、長いなぁ。

そんな呑気な事を考えながら、
私、伊吹 鳴(いぶき めい)は小さくあくびをする。

でも、そんな呑気な考えはすぐに吹き飛んだ。

「今あくびした新入生!話聞いてたか」

生徒会長の隣に立っている男が
マイクではなく生声で言う。
周りはざわざわしてきた。

…って、はい!?
それって私のこと!!?

どうしよう 全然話聞いてなかった…。

ここは、しらんぷり…するか。

私は俯いたまま、時間が過ぎるのを待った。
すると生徒会長の隣に立っている男は、私の方を睨みながら体育館の裏の方へと去って行った。

よ、よかったぁ…。
私は安堵のため息をつく。

あの人、かっこよかったなぁ。
私を睨んでいた男は、黒髪で黒縁眼鏡で制服がとても似合う男だった。

あの人、すき。

私は直感でそう思った。
…私って、Mなのかなぁ?