「あ、お前、元カレか。お前ら別れたんだろ?学校中が知ってるぜ?」
「別れてなんかねぇし。七星は今も俺の女だ。だからさっさと失せろ」
西崎くんは冷たい表情で相手を威嚇するように言葉を発していたけど、ふと何かを思い付いたようにニヤリと笑った。
「……あれ?あんたってさぁ、中学ん時、」
「!な、何もしてねぇし!わ、わかったよ。もう近寄らねぇって」
「そ?じゃあ、とっとと行け」
西崎くんはしっしっと手を振り払うように動かす。
それに対して、男の子は悔しそうな顔をして去っていった。
私は男の子が見えなくなったのを確認して、ほっと息をついた。
良かった……。
「……はったりって効くもんだな。ていうか、一体何しでかしたんだよ?くくっ」
笑う西崎くんを見上げる。
1ヶ月ぶりの近さだ。
西崎くんは嘘をついてまで私を助けてくれたんだ……。
もう何の関係もない私を。
その優しさに胸がきゅうっと締め付けられる。

