ある晴れた朝

想いの丈を測ろうと

山にそびえ立つ

一本の杉の木に

傷をつけた

何度も雨が降り

何度か雪が降った

そして月日は流れ

僕は成長をした

再び丈を測ろうと

山へ向かう

ぬかるんだ土に

埋まる足

やっとの思いで

たどり着いた

杉の木

いつかつけた傷と

僕の丈は

まだ同じ場所にあった

僕は成長して

いなかったようだ

先日の雨が

雫となり

葉と葉を伝い

僕の頭を濡らした

驚き

ふと見上げると

木漏れ日が眩しかった

僕は視界を失った

眩しかったからだ

…そうに決まっている

強がってみた

本当はわかっている

そんな僕の

掴み処のない

哀しみを

覆い隠して

くれるように

一枚の葉が

太陽と僕の間に現れ

ゆらゆらと揺れている

眩しさがなくなった

そうか

僕よりも

杉の木が

成長していたんだ

こんなに背の高い

杉の木よりも

僕のほうが

優れていると

思っていた

勘違いも甚だしい

僕はまだ幼子のように

弱く儚い

小さな存在みたいだ