まぶた閉じた

その時から

目覚めることを

忘れた姫様

もう幾月が流れたのか

数えることすらも

忘れていた

ただ

随分昔のことのよう

姫様の瞳の色すら

思い出せない

僕は駄目な使用人

寄り添い目覚めを待つ

毎日身体を拭く

そんな日々が続く中で

僕は歳を重ねてる

医者はどこにいる

すぐ目覚めると

言ったではないか

いつまで待てばいい

姫様の笑顔を

ただ見たいだけなのに

微かに聞こえる

生きてる証

まぶた閉じれば

元気な姿を見せて

くれるのに

もうあやふやな

姿だけど

確かに存在を

感じるんだ

僕は姫様の使用人

他の誰かに

就く気はない

だから早く

目覚めてくれ

頬を撫でると温かい

手を握れば

僅かに動く

姫様は生きている

僕の姫様

僕に指示を…

僕は待っています