朝早く部屋を出た

空はまだ暗かった

走り抜ける車の

ライトが眩しかった

寒さで凍てつく体を

縮こめながら

暗い道を歩き続けた

どこへ向かう

訳でもないのに

誰がいるわけでも

ないのに…

何処へ行くの?

部屋を出るとき

確かに

背中に聞こえた声

なにも聞こえなかった

フリをして

扉を閉めようとした

その隙間から

愛した人と

目があったことなど

僕は知らない

ことにした

もう帰る家もない…

泊めてくれる

あてもない

たった一度浮気をした

彼女をどうしても

許せなかった

それでも彼女が

愛おしかった

だったら俺も

浮気してやろう

そんなあても

ないけれど…

マフラーを口まで

引っ張り上げて

丸めた背中を

伸ばすように

空を眺めた

これから

どうしようかと

考えてみた

なにも考えられない

気がつけば

朝日が昇り

オレンジ色の

空を眺めていた

なんか

どうにかなる気がした

家へ帰ろうか