一枚の紙があればいい

それだけで

想いを伝えることが

僕には出来るから

汚い文字でごめんね

微妙な色でごめんね

かすれたらごめんね

それでも

僕の気持ちは

伝わると信じてるよ

一文字一文字考えて

君の好きな

言葉を捜す

見つからないほど

僕は無知に呆れる

でも君のために

何枚も紙を

無駄にしたこと

今でも忘れない

青が好きな君に

青空色の便箋

下手くそな文字が

台なしにしちゃうけど

どうしてもこの言葉

手書きにしたいんだ

もうすぐ君の誕生日

お金がないからと

嘘をついて

ご飯だけでも驕るよ

なんて言いながらも

ポケットに秘めた

9号の指輪

便箋の中に無造作に

手紙と共に渡す

あとは手紙を書くだけ

君はどんな顔を

するだろうなんて

考えてると

にやけちゃって

手が進まない

そんな日はもう

今は昔だけど

あの頃と変わらぬ

想いで

結婚30周年の

手紙を書いている

青空色の便箋は

今回も

下手くそな文字に

埋め尽くされた