身を起こした蓮は、表情を変えずに私の方を向く。
「やっと来たか、梓。仕事すんの遅すぎだ。暗くなるからさっさと帰るぞ」
もしかして私のために待っててくれたの……?
蓮は低い声でそう言うなり、すぐに歩きだす。
「ちょちょっと待ってよ、蓮」
私は慌ててその背中についていった。
ずんずん進む蓮に私はどうにかスピードを合わせる。
「どういう風の吹き回しよ? さっさとひとりで帰ればよかったじゃん」
「たまには、お前をからかいながら帰るのも面白そうだったからな」
蓮はイタズラっぽく笑って、私をからかう。
「はぁ? なにそれ? やなヤツ」
コイツが私のために待つことなんてない。
今、心の中で思ったこと返せ!


