私は、やっぱり過去に捕われ続けるのだろうか。
あの時の大神君。窓の外の大神君。
別人だ。
私がボーっとしていると、『ところで』と夢が言った。
「姫ちゃんてさぁ、すっごい頭いいんだよねっ」
「え?そ、そんなことないよ?」
「だって新入生代表、やってたじゃない。かっこよかったよ」
「あ、ありがとう…。 でも、違うんだ」
私は小さく呟いた。
「え?」
不思議そうな顔をする夢。
私は思い切って話し始めた。
「私、入試で二番だったの」
「え?そうなの?」
「うん」
「え、じゃあ、一番は?」
「…大神君」
「嘘…」
「先生達は、そのことを隠したがってたみたいだけど」
「……」
私がそう言うと、夢は急に黙ってしまった。
「どうしたの?」

