目の前にある顔は、私の反応に拍子抜けしたように離れて行った。 「もうちょい驚いてくんねぇ?」 「…ごっごめんなさい」 あーもう。と髪をぐしゃぐしゃにしながら言う。 「…あの……」 「なんだよ」 「戻んなくていいんですか?」 体育館を指差す。 「俺、もう出番終わったし」 「さっきの、ですか」 「あぁ」 「あの…」 私は恐る恐る聞く。