ヤンデレに死ぬほど愛されてます

私は夢中でお皿を洗っていた。

何も考えたくない。


今日一度も孝太郎の姿を見てない。
休みかな、そう思うと少しホッとした。


自分の当番が終わると、
私は暇になった。

本当は孝太郎と一緒に回る予定だったけど…。


当てもなく廊下を歩いていると、
孝太郎の姿が視界に映った。


無意識、だった。

相手に気づかれないよう、廊下を駆け抜けた。

そして、誰もいない視聴覚室の隅で
じっとしていた。

ヴー ヴー ヴー

携帯の振動に、
心臓が止まるかと思うくらい驚いた。


孝太郎からの電話…。

「…もしもし」

「夢葉、今ど…」


ツー ツー ツー…

切ってしまった。

私はブレザーのポケットに手をいれた。
カサッ、とした感触。

杉村くんの電話番号…。

彼はまだ病院だろうか。


躊躇うより先に、手が動いていた。


ワンコール、ツーコール…
何コールしても出てくれない。

それでも私はかけ続けた。


ブツッ
「もしもし、杉村ですけど…」

「私、雨宮。お願い助け…」

扉が開く音がした。

「夢葉、みーつけた」



「おい、雨宮!?」


杉村君の声は、もう耳には届かなかった。