ここは、どこ?

真っ暗で何も見えない。
目隠しがされてて、
手足も縛られてる。


微かに聞こえるシャワーの音…。

孝太郎の家?

水の音が止まった。
誰か、来る。


「夢葉、僕を裏切ったの?」

「違う…」

「杉村に僕の事全部話したよね。
杉村に僕の過去を聞いたよね。
勝手に、勝手に、勝手に。
僕のいないところで。」

優しく頬を撫でられる。

「僕何がいけなかった?」

腕に、鋭く冷たいものが突き立てられた。

「僕は夢葉しか見てないのに、
どうして僕から離れようとするの?」


怖くて声が出ない。


「なんか言ってよ」

刃物を持つてに力が入って、
腕が裂けるのを感じた。

痛い、でも孝太郎がこんなに怒ってるなんて、
きっと私が悪いんだ。

「ごめ…なさ…っ!」

再び腕に激痛が走る。


「ねぇ、僕だけを見てくれる?」

私は何回も頷いた。

「好きっていって?」


「…好き…」

孝太郎は満足したのか、目隠しを外してくれた。

「えっ」

思わず声がでる。

腕から流れ落ちる真っ赤な血。

痛い痛いイタイイタイ。

涙すら、出なかった。