時刻は7時を過ぎて、
今日はここまでにしようということで、
私達は解散した。

「いつでも相談してね」

そう言って渡された連絡先。

雨が降り出したので、傘を差して家に帰った。


私の家の前に、
ずぶ濡れで立っている人がいた。

「こ、孝太郎!?」

どうやらずっと前から待っていたようで、
手は冷え切っていた。

「どうしたのっ?」

「夢葉に借りてたノート、返そうかなって。
雨降ってきちゃったけどノートは無事だよ」

いつもの笑顔で言った孝太郎。

「取り敢えず中入ろう、風引いちゃう」








「お邪魔しまーす」

孝太郎にシャワーとお父さんのスウェットをかして、
私はリビングで暖かいお茶をいれていた。

ガララッ

「シャワーありがとう、服も」

「ううん、ごめんねわざわざ…」

申し訳なさと、私の為に待っててくれたことに、
胸が締め付けられた。

「全然いいよ、僕が夢葉に会いたかっただけだし」

やっぱり、私は孝太郎のこういうところが好きだ。
どんなに傷つけられても、心だけは揺らがない。

「ありがとう」

私は、孝太郎を抱き締めた。


そう言えば、学校以外で孝太郎といて縛られてないのって
初めてかもしれない。

そう思うと、何だかおかしくなってきて、
二人で笑った。



「孝太郎今日ね、親帰ってこないんだ」

私がそう言うと、少し驚いたように目を見開いて、
優しく笑った。

「泊まっていく?」

「うん!」

これが、孝太郎が最初で最後に
私の家に泊まった日だった。