久々の我が家。


詩織に管理してもらっているから、特に変わった所はない。


二人きりになりたくて、咲にだけ帰るように告げると「はいはい、じゃまた明日ね」と言われた。


あいつには悪いけど、1週間しかない休みなんだ。
詩織と二人きりでゆっくりしたいんだ。



部屋に入るなり、荷物を足元に落とし。
後ろからぎゅうっと詩織を抱きしめた。


「俺の方が我慢効かないなんて、いい歳してなにやってんだろな。」

耳元でそう話すと、詩織は肩をすくめる。


「…わたしも…祐太朗さんに触れたかった。」


身体の向きを変え、胸にしがみつく。


「詩織、いい?」


抱き上げた身体は思っていたより軽くなっていた。


「お前…痩せた?なんで?具合悪いのか?」

不意に浮かんだ涙。

「最初の1ヶ月…不安で。不安に押し潰されそうで…眠れなくなって食べれなくなって。」


ベッドに身体を横たえ、上から見下ろす。
痩せた…気が付かなかった。


「馬鹿だな…俺はお前にメロメロなんだぞ?他の奴で代わりなんか出来ない。お前だけが欲しい…詩織…」


優しく口付けるとフワリと笑った。


「離れたくないの…怖いの、祐太朗さんがわたしのこと忘れちゃうんじゃないかって…」


そして零れた涙。


「そんなことない、大丈夫って周りの人は言うけど不安だったの。でも、今は大丈夫。咲さんがいつもいつも励ましてくれるの。」


「あいつ…そういやぁ山本って奴も何度か会ったのか?
お前の事、名前で呼びやがって…胸くそ悪いったら…」


おかげで要らぬ嫉妬をしてしまった。

詩織が他の男に靡くわけないのに。


「咲さんがわたしを詩織ちゃん、って呼ぶからだと思うの。多分、わたしの苗字知らないんじゃないかな…」


小首を傾げるその仕草が堪らなく可愛い。


「構わんさ。
…そのうち変わるんだから。」


優しく抱きしめて。

安心出来るようにゆっくりと彼女を抱いた。