「その年下にいいように言い負かされてるわけだ、お前は。」


晩飯用に買ってきたおにぎりをテーブルに置き、お茶を入れる。


「あ、お弁当買ってきたー。」


言うなり、いつも持っているデカいトートバッグから弁当の折を取り出す。



「駅前で買ってきたの!あ、それと詩織ちゃんから預かってきた!」


取り出したのは何やら箱だ。


ん?それ…


「俺の弁当箱。」


手渡されたそれは見覚えのある箱で。
中にはギッシリと詩織の手料理が詰められていた。



やばい。



泣きそうになる。

「マメよねぇ。兄貴のとこ行って来るって話したら、これ渡してって持ってきたよ。しかも浮気調査まで依頼されたし。」


「馬鹿言ってないで食うぞ。あ、詩織の手料理はやらん。」


全部俺が食べるんだから。



「祐太朗のケチー!女の影があったって報告してやるー‼︎」


笑いながら誰かと食事をする。



2週間ぶりで嬉しかった。


「で?山本さんに負けて逃げてきたお前は、わざわざ俺のところに来て何かいい事でもあるのか?」



食後、コーヒーを飲みながら咲にそう尋ねると、はぁ、とため息をつかれた。