詩織が作った晩御飯をそそくさと食べる。



気もそぞろ。



そんな俺を見て、詩織は呆れないだろうか。



「シャワー浴びてきてから着替えたらいいですか?」



そう聞かれて、心臓がドクリと音を立てた。


「あぁ。寝室にいるから。」



まるで初めてみたいな心境の俺。
余裕なさすぎ。
咲から貰った避妊具をベッドサイドのチェストに入れる。

俺がこれだけ緊張してるんだ。


詩織はもっと緊張してるんだろう。


「なんでこんなに緊張するんだよ…」


声に出して言ってみると、かなり声が震えていた。

バージンの女の子としたことないわけじゃないし、経験だって人並み、いや、それ以上ある。


「…祐太朗さん」



小さな声がして振り向くとそこに詩織がいた。


俺のシャツを着てる。


ぶかぶかのシャツ。

スラリと伸びた長い脚。程良い肉付きで柔らかそうな白い肌。



「おいで。」


ベッドに腰掛けたまま手を差し出す。


重なった手は微かに震えていた。


「怖い?」

「……」


首をゆっくりと左右に振る。

「じゃあ、緊張してる?」

「はい…」


…そうだよな。俺もだよ、そう伝えたい。
でもさすがにそれは出来なかった。
プライド故か。


「詩織。幸せにするから…俺を信じて、俺についてきて。詩織が毎日笑顔でいられるように頑張るから。だから…お前の全てを俺にくれないか。」


言うと決めていた言葉を大切な人に伝える。


「祐太朗さん…ずっと側に居させて…あなたが、あなただけが…大好きよ…」


ふわり、と鳥が舞い降りてくるように抱きつかれて。


そのまま、2人で夢のような時間を過ごした。