「じゃあさ。


俺が詩織以外の女性を抱いたりしたらどうする?

お前は平気なの?俺が…例えば菊池だったり、受付の長谷部だったり、詩織が知ってる女性と抱き合ってたりキスしてたりしても平気なんだ?」


言いたい事の半分も言い終わらないうちに詩織は涙を落としながら首を横に振り始めた。

嫌。


そんなの嫌。


そう言いたげに首を横に振った。


「詩織は俺が欲しくないの?」


付き合ってまだ少し。
焦らないといえば嘘になるけれど、一応歳上だし。
我慢してるよ、お前のために。

キスすらままならない関係だというのに、ひたすらお前の笑顔のために我慢してる。


これくらいの我儘聞いて欲しい。



「…欲しい、誰にも渡したくないよ!」


まぁ…心境は分からなくもないけど。

ココロを白状したから、許してやるか。


「素直になれってこと。
ありがとう、でいいじゃん。俺はそれで満足なんだよ。自分がしたいことをしてるだけ。」


抱きしめて背中をトントン。


俺の背中に回された腕がぎゅっと服を握りしめる。


「恥ずかしくて言えないの。
帰りたくないとか、抱きしめて欲しいとか、……キス、したい、とか。」



なぁんだ、そんな理由か。


…って、今なんか大事な事言われてないか?